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投機した時間の軌跡

【読書メモ】重力波とはなにか

けっこう理論物理を簡単にわかりやすく教えてくれる本って好きなんですよね。「弱い力と強い力」だったり「重力とは何か」だったり、結構こう言った本は読んでます。

少し、興味があるから必要な数学と高校物理なんかから時間をとって勉強したくなるけど、結局やらないやつですね。

目次

作品詳細

作品名:重力とはなにか
作者:安東正樹
出版社:講談社
発売日:2016年9月14日

要約

重力って
  • 昔はアレストテレスが考えた四元素の中の土の力だと思わ続けて来た
  • ケプラーガリレオの地動説で、なんか違くねってなる
  • ニュートン万有引力で説明するけど、どこ由来の力なのかわからなかった
  • 水星の軌道おかしくね、冥王星的なものないけど変じゃん
  • アインシュタインが四次元の歪みだと発表し、実証される
重力波って
  • 時空の伸び縮みのことで、潮汐力のようなもの
  • 力が小さすぎて、超巨大な質量が、光速で、条件通りに動かないと観測できない

みんなが諦めている中で、ジョセフ・ウェーバーが方法を考え出し、観測するも、否定される。しかし、観測は彼から始まったため讃えられている。方法論自体は間違っていなく、素晴らしい功績だった。

観測機

観測機の世代が変わり、より広い範囲の宇宙から情報を1000倍拾えるようになり、100年に1度しか重力波は検出できないと算出されていたが、年に10回は検出できることになる。かがく の ちから って すげー

しかも歪みの検出を10のマイナス21乗までできるように、これは水素原子一個分の長さ。

しかし、観測には様々な雑音が入るため、極めて困難。

  • 光の量子雑音
  • 熱雑音
  • 地面振動による雑音

望遠鏡も宇宙に設置しているし、地球上は観測に向かないんですね。

2016年初観測

中性子星連星が重力波検出の最有力候補だと思われていた中、ブラックホールの連星が合体したことにより、2015年9月に重力波が初検出される。

そのブラックホール2つは、光速の60%で運動し、合体した。
目当ての情報が得られるとともに、新たな疑問や、多くの他の情報も手に入る。

重力波天文学の幕開け

わかったことがある一方で、連星ブラックホールの起源、巨大ブラックホールの形成の謎、中性子星の状態、γ線バースト、中性子星の合体の計算、鉄以上に重たい元素の起源、超新星爆発のメカニズムなど多くの疑問が、未だに解決できていない。

その解決手段として、重力波という、電磁波では見えない情報が得られることで解決するかもしれない。

超高温だった、宇宙の始まりは、38万年目まで高温すぎて、原子核に結びつかずに電子が自由に動き回り、光とぶつかってしまうため、光を観測できず宇宙の38万年目以前は観測が不可能です。しかし重力波であれば、もっと宇宙の起源に近い状態を観察することが期待される。

究極の理論

宇宙の力は4つに分けられ、電磁力、強い力、弱い力、重力となっている。
これらを一つの理論で説明することが、宇宙の理論を説明することで究極の目標。

電弱統一理論で弱い力と電磁力、大統一理論で強い力も入り、最後に重力を組み込めれば、究極の理論になる。まだまだ遠い道のり。

感想

冒頭でも書いた通り、割とこう言った本読むのが好きで、知ってる部分も多くあり読みやすかったです。

日本は地理的なこともあって、多くの場所で分散して観測する場合に観測機を設置していた国だと思いますが、最近の情勢を見るに、中国にいつかその立場は奪われてしまうんだろうなぁと関係のないことを考えてしまいました。

p180にパスツールの言葉で「偶然は準備ができていない者を助けない」と言う言葉があって、とてもいい言葉だなぁと思いました。

これは、ブラックホール連星の重力波のことをさして引用していますが、人生の教訓にもなるんじゃないかなーと。
物理学は、先人の理論をきちんと学び、おかしいところを変えていくと言う守破離のようなシステムがしっかり回っていて、すごいなと科学の本を読むたびに思わされます。

自投資や遊びでもこう言った姿勢は忘れないで、準備を怠らずに行きたいなと思わせられ、重力波という興味深いものも知れた良い一冊でした。

僕の中で、ブルーバックスの本は合う本が少なくて苦手意識がありましたが、この本はスラスラ読めてよかったです。