トラッキィギャンビィ

投機した時間の軌跡

【読書メモ】マネーの公理

目次

こんな人にオススメ
  • 「投機=投資」をしている全ての人
  • 投機をしたいけど難しいと考えている方
  • リスクを負うことがどう言う意味か知りたい方
読むと得られること
  • 人がどうやって貧乏と金持ちにわかれるか
  • 投機のルール、覚えておくと役立つこと
読もうと思った理由・期待したこと

kindleの日替わりセールにて安くなっていたので購入。
その情報を知ったのは、仮想通貨界隈の方のtwitterから。

今まで投資の本ばかりを読んできて、長期分散投資ばかりの知識に偏ってきたと思ったため、投機の本を読みたいと思っていたのでちょうど良い機会だと思い読みました。

作品詳細

作品名:マネーの公理
作者:マックス・ギュンター
訳者:林泰史,石川由美子
出版社:日経BP
発売日:2005年12月22日

マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール

 

要約

公理とは

この本は、チューリッヒの小鬼とよばれた金融マフィアの一人フランク・ギュンターを父親に持つ著者が、チューリッヒの投機家たちの暗黙の了解を12の公理と16の副公理として書き出したものです。

  • 第一の公理 「心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ。」
    副公理1 いつも意味のある勝負に出ること
    副公理2 分散投資の誘惑に負けないこと
  • 第二の公理 「常に早すぎるほど早く利食え」
    副公理3 あらかじめどれだけの利益が欲しいのかを決めておけ。そしてそれを手に入れたら投機から手を引くのだ。
  • 第三の公理「船が沈みはじめたら祈るな。飛び込め」
    副公理4 小さな損失は人生の現実として甘んじて受け入れよ。大きな利益を待つ間には何度かそういう経験をすると考えろ。
  • 第四の公理「人間の行動は予測できない。誰であれ、未来が分かるという人を、たとえわずかでも信じてはいけない。」
  • 第五の公理「カオスは、それが整然と見え始めない限り危険ではない。」
    副公理5 歴史家の罠に気をつけろ
    副公理6 チャーティストの幻想に気をつけろ
    副公理7 相関と因果関係の妄想にきをつけろ
    副公理8 ギャンブラーの誤謬に気をつけろ
  • 第六の公理  「根を下ろしてはいけない。それは動きを鈍らせる。」
    副公理9 忠誠心やノスタルジーといった感情のせいで下落相場に捕まってはいけない。
    副公理10 より魅力的なものが見えたら直ちに投資を中断しなければならない。
  • 第七の公理 「直感は説明できるものであれば信頼できる。」
    副公理11 直感と希望を混同するな。
  • 第八の公理 「宇宙に関する神の計画には、あなたを金持ちにすることは含まれていないようだ」
    副公理12 占星術が当たるのであれば、すべての占星術師は金持ちであろう。
    副公理13 迷信を追い払う必要はない。適当なところに置くことが出来れば楽しめる。
  • 第九の公理 「楽観は最高を期待することを意味し、自信は最悪に対処する術を知っていることを意味する。楽観のみで行動してはならない。」
  • 第十の公理 「大多数の意見は無視しろ。おそらくそれは間違っている」
    副公理14 投機の流行を追うな。往々にして、何かを買う酒匂のときは、誰もがそれを望まないときである。
  • 第十一の公理 「もし最初にうまくいかなければ、忘れろ。」
    副公理15 難ピン買いで悪い投資をなんとかしようとするな。
  • 第十二の公理 「長期計画は、将来を管理できるという危険な確信を引き起こす。決して重きを置かないことが重要だ。」
    副公理16 長期投資を避けよ。
 第五の公理

この公理の章では、パターンというものの限界を説明している。

投資信託というものは大衆のお金をまとめ、その中の一部を経費として使いその筋のプロたちが膨大な時間をかけて調査し運用されているが、これまでもこれからも彼らが完璧な儲かる理論を完成させられることはないと言える。
歴史的に、投資信託は9割もの割合で市場平均と同じか低いパフォーマンスしか出せていない。

カオスの中にパターンが見えたと思い始めたら、それが崩壊への第一歩。
近所の図書館でに行けば必ずある、〇〇投資術のような本が大量にある本棚を見るといい、全てが再現性の皆無な自慢でしかないことに気付くはずだから。

儲かるかどうかは運次第で、幸運であればどんな方法でも儲かることを知らなくてはならない。

第九の公理

楽観は最高を期待することを意味し、自身は最悪に対処する術を知っていることを意味する。楽観のみで行動してはならない。

楽観はとても人間らしい考え方で、おそらく治ることはない。

相場の楽観論は大まかな算定だが75%を占める。
理由は、楽観主義の方が耳障りが良いということ、経済ジャーナリストが強気と弱気の半々でコラムを作らないことがあげられる。
楽観論は無数に絶え間なくあげられ続けるので、どこかで強気相場が始まればその時の預言者がスポットライトを浴びるという仕組みである。

楽観主義は投機家の敵である。判断を曇らせる為である。
物事が悪い方向へ進んだ時に、どう自分を助けるかを自問できることが投機家の大事なスキルである。

感想

本というものはすごいもので、あれだけ長期分散投資を信奉していた私が別に長期投資も投機も本質的には何かにかけるってことだから変わらないかなと思えるくらいに考えが変わりました。

ただ200年の市場分析に置ける事実から長期分散投資が最も万人に優れた方法であることは変わりないと思っています。
しかし、短期投機の目線から見ると長期投資の方がリスクの高い行為だというのもなんとなく主張としては理解できると感じました。
個別の銘柄への長期の集中投資であれば、なおさら投機と変わらないんじゃないかと思えるようにもなりました。

この本からは時間や労力をたくさん使ってでもお金持ちになりたいなら、このルールに従い貪欲に学び続け機会が来たら臆せずそこにかけるという強い意識が感じられました。
長期でインデックスに投資するような時間も労力もかけずにリターンを期待する投機とは真逆ながらも、同じ地点を目指しているようで読んでて楽しかったです。

投資・投機を始めてみたい・始めたけどどうすればいいかわからないって言う方へとても、思考フレームやこれからの指針となってくれるいい本だと思いました。

なんだかんだで、私も3回くらい読んでます。