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投機した時間の軌跡

【読書メモ】プラスチックスープの海 1/2

2また一冊の本2回に分けて投稿します。

世界は知らないことだらけですね。プラスチックがこんな問題になってるとは知りませんでした。地球に関することと、生物に関することに分けて要約しました。

目次

作品詳細

作品名:プラスチックスープの海
作者:チャールズ・モア カッサンドラ・フィリップス
訳者:海輪由香子
出版社:NHK出版
発売日:2012年8月25日

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する

 

要約

プラスチックスープ

親子揃って海が好きだった著者は90年代初め頃、公害問題が人の手で対処しきれる範囲を超え始めたという印象を持ったために、父の遺産で「アルガリータ海洋調査団」を設立し、ゴミの多い海域でサンプルを採取するための船「アルギータ」を誕生させた。

「アルギータ」を動かす練習をしていた時、例外的気象に襲われたためルートを変えた。そして、北太平洋高気圧帯と呼ばれる海域に入ったときに発見したのが「太平洋ごみベルト」である。

そこはアメリカ南西部地方・メキシコ・アジアの高気圧帯に位置する砂漠と同じ緯度で、魚さえどんよりしたこの海域を嫌うが、地球上の半分の酸素を供給する「植物プランクトン」が大量に生息していて、海の食物連鎖の底辺を担っている重要な場所でもある。そんな場所に探せばすぐ見つかるような頻度でプラスチックのゴミが浮いている。 

地球のごみ捨て場

昔から人間は、海や川を無限の処理能力を持った多目的浄化装置として使ってきた歴史を持つ。2009年の試算では、これまでに6億1500万トンのプラスチックが海に投棄されていると発表もされた。

ここにきて、海水の酸性度が50年前より3割上がり、魚の数は減少し、食物連鎖の頂点の生物からは化学物質や農薬が検出され、処理能力は有限のものだと気付き始めた。

産業革命前には、河川に排出物と廃棄物を流し伝染病をたびたび起こし、産業革命後には、様々な業種や消費者が河川に有害な廃液やプラスチックを垂れ流しにした。そして今、様々な影響が出始めている。対策に乗り出すも、企業・個人は違反し続けた。

スーパータンカーの座礁によってばら撒かれた12万トンの原油によって海域が死んだ事件などから、海洋ごみについての「マルポール条約」が発効されたが、プラスチック業界の成長率は全セクター中1位で、資本主義の名の下に無視され続けた。

渦流への調査航海

カリフォルニア湾から500海里ほど離れた場所でサンプリングの練習をすると、渦流の中心からまだ半分なのでプランクトンしかいないと考えていたが、予想に反して大量のプラスチックがかけらがでてきてしまった。また、調査の一環で海に入ると「サルパ」という海の掃除屋プランクトンにプラスチックが入っていることが判明した。

プラスチックは分解されず、そのプランクトンを捕食する生物へと入っていく。さらに、プラスチックは紫外線や波によっても分解されるが、海で様子を見るに、大きな魚が大きなプラスチックに噛り付いて、体内でも分解していることがわかってきた。

 

海洋ごみの科学調査

汚染プラスチックは出発地と到着地の特定ができず、流出元を特定することはできない。

プラスチック崩壊の強い原因は、熱・日光など物理的侵食で、弱い原因としては空気・水・生物などがある。自然にはたくさんの変数があって完全には把握できない。

ウィンドローという現象により、海洋ごみは明るみに出てくるだけでなく、ごみ同士を絡め合い巨大な塊へと成長させる。

著者の娘のテーラーは、嵐のあとに海におけるペレット数の増加の直接のソースを発見した。近くの工場の不注意な操縦によって起こされていたものだった。

プラスチックの足跡を消す

リサイクルという解決手段は結局のところ、中国などの安い場所に送ることになるため、流失などの危険性もあり、再利用事態が概念よりとても難しいことである。

海洋分解性を持ったプラスチックの開発が待たれるが、未だにできていない。

 

感想

何気なく図書館で手に取った本でしたが、こんな問題が深刻だったなんてまったく知りませんでした。

投棄されたプラスチックが6億トンって想像もつきませんし、なんとなくプラスチックって分解し辛そうなので、大丈夫なのかなとすごい不安ですね。
けど、僕らの生活はすでにプラスチックまみれで、たぶんプラスチックがなければ僕も生活なんてできないだろうし、文明の享受には犠牲も必要なのかなと思ってしまいます。各々が問題を把握してないこと自体が問題ですよね。

フロンガスの時なんかもこんな感じでしたし、新しいものに人間は無限の期待をしてしまうものなんですね。資本主義はそういった負の外部性とかを計算し得ないので、不完全なものなんだなぁと考えさせられます。