【読書メモ】君主論 上
一度読んだ本を再読していこうと思います。
この本は2014/09/04に読みました。何も覚えていませんが、また新しいことを発見できると嬉しいです。
長くなってしまったので、ここでは君主国についてまとめました。
目次
作品詳細
作品名:君主論
作者:マキアヴェッリ
訳:大岩誠
出版社:角川学芸出版
発売日:1967年4月30日
原作発売年:1532年
要約
国の種類
今も昔も、土地というのは「君主制」か「共和制」かで治めている。
君主制にも「世襲君主国」と「全く新しいもの」と別れる。
また、新しいものにも「新規な国」と継ぎ足すように伝承の国に付け加えられる「混合国」とある。
混合国にも、混合国になる前に「君主制」だったか「自由に治められていた」かで違いがある。
世襲君主国の立ち回り
新しい国々と比べ、維持するのははるかに楽で、先祖からの掟を守るだけで良い。
また、不意のことにも、潮時をみて対処すれば十分である。
たとえ、大きな力でもぎ取られようと相手が災難にあった時にたちまち取り戻せる。
混合君主国
運命
人間は世の中が良くなると思い込み、自ら進んで君主を変えるが思ったよりも良くならないとすぐ手のひらを返す。さらに、新しい君主は、軍を配備したり、手引きをしてもらった周辺国を満足させられなかったり、新しくなったが故の混乱に見舞われる。それに晒される民や周辺国は手のひらを返してしまう。
そして再び、元の君主が返り咲くと、その波に乗って、逆徒を処罰し、怪しい連中を処分し、己が弱みを強化するために国は強化される。
立ち回り
このようにならないためには、うまく立ち回る必要があり、その国の状況にも2つの種類がある。地方・言葉・文化が同じ場合とそうでない場合である。
文化が同じ場合には、2つの条件を守れば手軽に国を維持され、短期間のうちに君主国と融合すると言える。
- 元君主の血族を根こそぎなくすこと
- 他の事柄について、お互いに昔ながらの状態を続けること
文化が違う場合には、運勢に左右もされるし、多大な努力が必要となる。
- 優れた効果を発揮できるのは、君主自ら手に入れた土地に住むことである。
- 最も優れた策は、その土地の最もクリティカルな急所に移民を送ることである。
移民にはお金もかからず、貧乏なので反逆も起こせない。軍を送るとお金がかかり、軍が悪さをしそこの民を虐げるようになれば、民に憎まれ、その国はもう手に負えなくなってしまう。
他文化の支配という点で、ローマ時代は大いに参考になると言える。
君主国にも種類がある
- 君主が絶大な権力を持ち、その許可と寵愛で役人が仕事をする形態
- 君主が領主たちの上に立つので、各領主に各領民がついてしまっている弱い権力の形態
前者の攻略には、戦力で上回る必要があり、勝ってしまえば君主の血統以外の対処はとても簡単である。
後者の攻略には、逆で純粋な戦力ではなく、どれだけ領主たちを味方につけるかで決まるし、その後の対処は複雑極まってしまう。
全く新規な君主国
勇気と幸運を前提に発生する成り上がりの場合
一度の幸運を逃さず、潮時に乗り、自分たちの思うままに作り上げる者たちのこと。
例として、モーセース、クルシュ、ロームルス、テセウスなどが挙げられる。
このような者たちの武徳による君主国の創出は難易度が高いが、維持するのは容易い。
なぜなら、新しい制度や政策を作らなくてはならない時に、その武徳によって押し通せるからである。
人に説教するのは簡単だが、堅くその教えを守らせるのはとても難しい。しかし、その武徳を持って守らせ続ければ、次第に尊敬を集め、力量に妬んでいる輩を滅ぼして行けば、牢固たる地位と名誉と幸福が約束されている。
幸運のみで発生する成り上がりの場合
対して骨を折らずに出世してしまう者たちのこと。
例として、イオニアやヘレスポントスのような都、フランチェスコ・ズフォルツァ、チェザーレ・ボルジアなどが挙げられる。これらは、身を保つのが難しい。
なぜなら、多くの場合にそういった人は、道をわきまえず、信頼のできる軍勢を持っておらず、あらかじめ固めてある地盤という者も持たないためである。
この運命を覆すためには、これらすべてが必要となる。
- 敵勢に対する備えを固める
- 味方をつかまえておく
- 実力と謀略で勝利をしめる
- 人民に敬愛と同時に恐れられる
- 軍には忠義と尊敬をさせる
- 周辺諸国に危害を加える力を持つ
- どうしても罰の必要な連中を皆殺しにする
- 新しい方策をたて旧秩序を一新する
- 大まかで物惜みをしない
- 不忠実な軍勢は解放し新手の手勢を作る
- 国王や君主連の好意を繋ぐ
これら全てを実行した父アレッサンドロの全てを引き継ぐ子チェザーレ・ボルジアは、幸運であると言え、またそれを生かす才もあったが、父が短命であったこと、自身が病気にかかってしまうというたったそれだけの計画の狂いによって頓挫する。
チェザーレは幸運の出世だが、もう少しでそれを覆すほどの覇権を握りえた人物でマキャベリズムの模範ともされている。
凶悪な振る舞いで君主に登る場合
己が敵を全て惨殺し、時には裏切り、騙し討ちをし、君主の席につくもののこと。
例として、アガトクレース、フォリアニが挙げられる。
これらの人物は、なぜか永年の間その故郷で危害を被らず、よく外敵を防ぎ、市民から謀反を起こされない。
これは、残虐ぶりが家臣や市民にとっては善用されているからである。君主のすげ替えや金持ちの虐殺などのひどい荒療治を一撃のもとに片付ける。その後それに執着しないため、臣下や民はかえって幸福を増進する。
また、その荒療治を蒸し返したりしないように人心を掌握し、恩恵を施しつなぎ止めるのが重要である。一撃でことを片付ける利点として、小出しにするよりも市民が怯えなくて済むというものもある。
一介の市民が人気投票で君主になる場合
町人衆の後押しで君主になる理由は2つある。
- 大家衆が町人衆に刃向かえないようになると、町人衆の中から君主を出し自分たちの望みを叶えようとするため
- 町人衆が大家衆に敵対できないとなると、ある人を祭り上げてその威光によって庇ってもらおうとするため
町人衆から加勢を受けた君主は権力が集中するため政がしやすい。また、町人衆は圧政さえ受けなければそれで良いため、非情にやりやすい。
大家衆の加勢で君主になったものは、大家衆が同僚面するため政がやりにくい。さらに、大家衆の加勢で君主になると、数の多い町人衆にも気を使う必要がある。
どちらに加勢されたとしても、町人衆を味方につけなければ未来がないといえる。
大家衆を統御する場合、素直に服従を選んだ時には面目を施させて目をかけなければならず、服従しない場合には2つの道がある。
- その連中がいい知恵を貸した場合には、それを役に立てなければならない。それは、うまくいくときには自分の名誉になり、悪いときには大家衆など恐れるに足りないと分かるからである。
- 何か悪意があり野望を抱いている場合には、公然の仇敵として恐れなければならない。それらは国が逆境に立つと滅亡に手を貸すからである。
宗教君主制
昔ながらの超強力な戒律、主君がどんな振る舞いをしようと権力を振るわせられる超性能、ただ一人で国を持ち、しかも守りすらいらず、領民がいても治めず、防衛せずとも侵略されず、民は治められずとも苦に思わず、君主に背こうともせず、最強にして最高の国家といえる。
昔は誰も法王など誰からも見向きもしていなかったのには、イタリアが多くの国に別れ、その中で強かったヴァネツィアと教皇庁の力をそぐために、周辺が策をめぐらせていたからであり、アレッサンドロ時代からはフランスが入ってきたり、色々なことが起こり、教皇庁は力を強めていったと思われる。